なぐり描き法/相互なぐり描き法

なぐり描き法とは

なぐり描き法とは、ペンで画用紙にぐるぐるとなぐり描きをし、その描線を見て思い浮かんだものに色をつけていくアートセラピーの技法です。

ペンは鉛筆でもいいですが、線が見やすくて後から彩色しやすいサインペンがよく使われます。

なぐり画き法は中井久夫氏によって日本に伝えられました。
中井氏はなぐり画き法の導入の際に「枠づけ法」を適用することを推奨しています。

なぐり画き法は、クライエントが自分でなぐり描きをして自分で色をつける「なぐり描き法(スクリブル法)」と、クライエントとセラピストが交互になぐり描きと彩色を行う「相互なぐり描き法(スクイグル法)」に分かれます。

なぐり描き法:スクリブル法

なぐり描き法(スクリブル法/scribble)は、アメリカアートセラピーの先駆者マーガレット・ナウムブルグ(Naumburg,M.)が1966年に開発したアートセラピーの技法です。

はじめにクライエントにペンと画用紙を渡し、何も考えずになぐり画きをするように促します。

そして描線が表れたら「この線から何が見えますか?」と質問し、見つけたものに色をつけてもらいます。

相互なぐり描き法:スクイグル法

相互なぐり描き法(スクイグル法/squiggle)は、イギリスの小児科医で精神分析家であるウィニコット(Winnicott,D.W.)が1971年に開発したアートセラピーの技法です。

相互なぐり描き法では、はじめにセラピストがクライエントの目の前でなぐり描きをします。

それをクライエントに渡して「この線から何が見えますか?」と質問し、見つけたものに色をつけてもらいます。

そして次は立場を交代してクライエントがなぐり描きした画用紙に、セラピストが色をつけていきます。

これを交代交代繰り返すことから、「相互なぐり描き法」や「交互なぐり描き法」と呼びます。

交互なぐり描き物語統合法:MSSM法

交互なぐり描き物語統合法(MSSM法:mutual scribble story making)は、1984年に山中康裕氏がウィニコットの相互なぐり描き法を発展させたアートセラピーです。

1枚の画用紙を6~8のスペースに区切ってもらい、それぞれのスペースで相互なぐり描き法を行います。

その後、すべての絵を使って1つの物語を作ってもらいます。

物語を紡ぐことで、投影したものを再び意識の糸で縫い合わせ統合させる効果があります。

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高橋依子、牧瀬英幹/描画療法のさまざまな実践について、章ごとに1つずつ徹底解説。適応の見極め、導入の手順、描画の解釈などの基本的な進め方、細かい工夫や注意点などを、事例をあげながら具体的・実践的に説明する。